3 Seconds




 三秒だけ
 たった三秒だけでいいんです


 窓から日差しが差し込む午後。
 仕事中であるこの時間帯に彼女が寝ているなどということは、その光景をこの目で見るまで考えられなかった。
「失礼しまー…」
 ハボックは提出するべき書類を抱え、少々乱暴に扉を開け、そのまま閉めようとした。ソファに座っている人物を見かけるまでは。
「……中尉?」
 呼んでも答えない。いつもならすぐに気づくのだが、今日に限って気づかない。訝しく思いながら、扉を静かに閉め、ホークアイの顔を覗き込む。すると――
 ホークアイは眠っていた。
 ああ、そういうことか。
 返事が無かったのも頷ける。おそらく最近は寝る間も惜しんで仕事に精を出していたのだろう。彼らの上司はよくサボるのだ。現に今もこの執務室のどこにもいない。大佐専用の部屋であるのにもかかわらず、彼はきっとどこかでぶらぶらしているのだろう。
 どうしようもないよな。
 それで一番苦労するのはホークアイなのだ。仕事量の調節から次々に起こる事件の処理。休む時間が無い。
 さすがに居眠りを咎めるつもりは無かった。


 だからといってこのまま起こしてしまうなんてもったいないことをする気はさらさら無い。


 三秒だけ。
 あと三秒だけでいいから。
 どうか目を覚まさないで。

 ハボックはホークアイの頬に手を這わす。
 3、
 顔を近づけて、彼女の額に唇を押しつける。
 2、
 この一秒が、永遠に続けばいいと思った。
 1.
 タイムアップだ。
 唇と手を離し、立ち上がる。
 手に残る肌の感触が消えてしまう。
 消えてしまう。
 どうせならこの熱が冷めなければ。
 どうせならあの柔らかな肌を自分のものにしてしまえたら。
 そんな勇気はどこにもなかった。
 ばれてしまって殺されるのも怖かった。
 ロイの机の上に書類を提出し、ハボックは執務室を退出した。


 ソファの上で目を覚ます。
 外はまだ明るい。
 仕事中なのに。
 ついつい寝てしまったらしい。机に目を向けると当然のようにロイはいない。どうやらまた逃げてしまったようだ。
 今日はこちらにもミスがあると思い、しばらくしてから捕まえにいこうと考える。
 不自然な格好で眠っていたせいか、体の節々が痛い。伸びをしたところで、気づいた少しの違和感。
「……あたたかい?」
 額、それから頬。


 かすかな余韻だけを残して
 散ってゆく三秒間

 




 




 *POSTSCRIPT*
 着実にハボアイも増えていってます。まあロイアイには敵わないがな!(自慢じゃない)
   明日の予習をしなければならないのにやる気がカケラも起こりません。何やってんでしょうねー。身にならないことはやめましょー。あーははははは。



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