だから好き




 どうにもこうにも、とにかく彼女の手は触りたくて仕方なくなるからいけない
「里花ちゃんの手のひらはいいねえ」
「は?何それ」
「あったかくてちっさくてふにふにしてて」
 一瞬の間と共に里花は顔を真っ赤に染めた。
「どっ…どうせ里花はお子様ですよ!童顔でぷにぷにですよ!」
「あああ里花ちゃんへそ切らないでっ」
「へそ曲げないで、でしょ」
「うふ」
 帰国子女といってもこの国語力は致命的だと思う。里花は間違いなく本人の口が悪いのが原因だと踏んでいる。
「もう女の子モードやめてよねー!」
 もうそんなことはしなくていいのだから。思えばこの短い期間、だいぶ頑張った。
「やっぱり髪が長くないとですかね。碧さんは偉大だなあ」
「何で?」
「いやね、俺に協力する代わりにみんなが出す条件を一つ飲むことになってましてね。それで碧さんが出した条件が女装するなら長髪でっていうのだったんですよ」
「へえ。じゃあ浅見さんは?」
「…碧さんと同室にしろって」
 時緒は少しだけ言いにくそうに答える。
「え?じゃああの二人…」
「その割りには発展しませんねー。まあいいけど」
「そうなんだ…」
「…里花ちゃん?」
「え、何?」
「いやもっと騒ぐもんだと思ってて…」
「あ、美男美女でお似合いよねー」
「何かとってつけたような感じがするのはワタシの気のせい?」
 里花は真面目に目を伏せる。
 考えたことがある。本当にいいの?
「…だって、だってね、人のことってあんまり騒いじゃうと騒がれた方もきっと嫌じゃない。それにあの二人は特別だし」
「へー、特別ね」
 面白くない。心の底から面白くない。碧さんはいいのだ。問題は浅見だ。
「特別よ。だって時緒の大事な人達じゃない」
 思いがけないことを唐突に言われた子供のように、時緒は目を丸くする。
「…里花ちゃん」
「え?」
「大好き」
「なっ何言って…」
 不意打ちでほっぺにキス。
 ああやっぱりいいなあふわふわほっぺ。
「ば、ばかー!」
「ああっ殴らないで!」
「外国育ちの時緒と違って里花は日本で生まれて育ってるの!そんなほいほいキスされてもどうしていいかわかんないん…だから…だから、他の人にも挨拶なんかでキスしないでよ…」
 なんだか段々何を言ってるのかわからなくなってしまって、とにかく恥ずかしかった。
「…ヤキモチ?」
 あんまりにたまらないことをしでかさないで欲しい。
 本当に、いつまでもずっと、手放したくなくなる。
「ばかっ」
「…里花ちゃんはいいねえ」
 だから好き。
 もういっかい、いい?
「〜〜〜っ」
 耳元で囁かれた一言に赤面しつつ、里花はうなづいた。
    



 




 *POSTSCRIPT*
 甘っ!砂袋っつかむしろ砂糖袋用意してください。うあー・・・
 っつーわけでプライベートアイズより時緒×里花。この二人は今も好き



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