溺愛ロジック




 好きで好きで好きで好きで仕方ないんだよ。

 神様に祈るような気持ちで彼女を見上げた。実際に僕は神なんてものをあまりいいものだと思っていないし、宗教に興味はあれどものめりこみはしていない。魔法を学ぶ上でそういったものは不可欠だったから人より余計に詳しかったけれど、それは実際のところには結びついてはいなかった。幸か不幸か、おかげさまでとでも言うべきか、今の僕の神様はきっと彼女。
 けれどソフィーは神様ではないので祈っても意味は無い。近くて触れて心があって、そんな素敵なものが神なんて無粋なものであっていいはずなんてないのだ。けれどこの二つの目は敬虔に彼女を見つめることができる。宗教も興せるかもしれないな、と考えてはみるものの、その素晴らしさを表す陳腐なリリシズムを僕は持ち合わせていなかった。
 だからだろうか、ただ見つめるだけという行為が好きだ。愛していると言ってもいい。語りかけもせずに、ただひたすら一心に、働くソフィーを見つめている。どんなところにいても何をしていてもすぐに分かる、心の美しい生き物。
 それで見るのにも飽きてくると触りたくなる。僕は所詮僕であるので、相当に飽きっぽい。なので口より先に体が動くのは正直さの証拠だ。確かに僕は正直でも誠実でもないけれど、自分の欲求にはどこまでも忠実なのだ。それはソフィーが、僕の臆病なところもわがままなところも泣き虫なところも、すべて受け入れてくれていると知っているからだ。そしてそんな僕の短所を、彼女はきっと欠点だとさえ思っていない。ああ、君はなんて最高の奥さん!
 おもわず忙しなく掃除をする彼女の背中に覆いかぶさるように抱きしめる。銀色の髪に透ける首筋に鼻先をうずめた。
「ハウル?どうしたの?」
 わけもわからず戸惑う彼女も可愛らしくてついつい首にかみつくようなキス。
「ハウル?」
 ねえ愛しい愛しい僕の奥さん、君は自分がどれだけ甘いものなのか知らないんだろう?
 首筋も背中も頭のてっぺんも頬も腕も足もすべて。
「ハウル、ちょっといい加減にして!」
 たまらなくなってひたすらキスを繰り返していると、真っ赤になった彼女に潤んだ瞳で見上げられてしまった。
「ねえ、ソフィー」
 君は笑うかな、怒るかな。
「離したくないんだ」
 君を。ずっといつまでも。
 言葉を失くしたように絶句する君の額にキス。
「な…」
 ソフィーは珍しいことにほうきを取り落としてしまう。床とほうきがぶつかってからりと乾いた音を立てた。
「っなんてことを言うのよ…!」
 そんなこと言われたら、離れられるわけないじゃない!
「愛してるよ」
 呆れたような、怒ったような、甘ったるい唇に触れると、きつく彼女を抱きしめた。

 好きで好きで好きで好きで、愛しくてたまらない。



 




 *POSTSCRIPT*
 今までロイアイできわどいのばっかり書いていたような気がするのでハウソフィはこう、甘ったるい路線でいこうかなとか画策してたりします。



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