caution!
自分ではそれほど意識していなかったものの友人からこりゃあ怖いよあんたと言われてしまい、よくよく読んだらやっぱ怖いよ最低でも小中学生にはとてもじゃないけどおすすめできないよと思いまして、15禁に。ああまったく自傷と自愛ですねおっそろしい。性的表現があるわけでなく暴力的場面による15禁設定ですので、どうぞご注意を。
それでもよろしい方はずずいと下へ。




























   毒の匂い




 埃のような黄塵が舞う戦地で、本能だけになったことが一度だけある。
 よくよく考えてみるならば、彼はその時とても弱っていた。弱っていたというよりはヒステリックになっていたという方が正しいかもしれない。ひたすらに殺し、殺し、殺し。人に優しくするどころか壊れない程度に傷つけたいという衝動に駆られていたのだろうと思う。
 本能というものはどこまで行っても強かだ。
 そう感じざるを得なかったあの夜。


 ロイが上官に呼ばれるのはけして珍しいことではなかった。
 どんなに若くとも国家錬金術師だ。資格を取得した際に軍での階級も変わった。国家錬金術師は少佐相当の権力があるのだ。それが少佐以下の階級となれば問題は様々あった。それが国家資格を持たない上の将校達にとって面白いはずがない。そして下にいる、彼の同期諸君にとっても。しかし彼らはどうしてもロイに逆らうわけにはいかない。この戦場では彼よりも広範囲に及ぶ攻撃に優れた者はいなかったからだ。
 上官に呼ばれたロイをリザは廊下で待っていた。
 何をしでかすかわからなかったからだ。ロイが。
 口も頭も悪く――これはロイの言だが――どうしようもない連中はいなくてもいいと思わないか、と訊かれた時、何も答えられなかった。彼はどんなに鬱憤を溜め込んでいることだろう。
 ドアノブが静かに回るのを見た。
 ああ、やってくる。
「少佐」
 ロイが振り返る。何でもなかったかのような笑顔だ。気味が悪い。
「お疲れ様です」
「そう疲れることもなかったさ。君はずっとここに?」
「ええ」
「知っていたらもっと早くに切り上げたのに」
「待つ覚悟はしていましたから」
 彼の本音を聞いたことがある。吐き出される乱暴で粗野な言葉。
 本性を知っている。
 それはどんなに優越感をさらけ出させることだろう。
「君はまさに狗だな」
 私の狗だ。
「――ええ」
 その後倉庫に連れ込まれた。そこが一番手近だったからだろう。紳士のつもりなのかただ単に露見したくないからか、彼は顔だけは殴らなかった。犯されることには慣れていたけれど殴られたのは初めてだった。彼は鬱憤を溜めすぎているのだからこうして抜いてあげないといけない。そう思って苦痛に顔をゆがめることだけは耐えた。やめろと言えば悦ぶのでそうしてやった。ああ私は彼の狗だけれどだからこそ本当に彼を知っているのは私一人。そう思うと唇が歪んでしまった。これで君はこの傷が治るまでは離れられない。そんな世迷いごとを繰り返す彼が愛しかった。かわいくておろかなひと。
 だからキスをしたのだ。いつ舌を噛み切られてもおかしくないとひやひやしたけれど、彼はそんなことはしなかった。
 飼い殺しとは素晴らしい、と嫌味に笑うだけだ。ブラボー!


 硝煙の匂いはきっと毒。
 血の味のキスはまさしく現実。
 



 




 *POSTSCRIPT*
 うわー殴ってる殴ってるー(死)
 やられてる最中中尉はこんなこと考えていてもいいと思う。
 



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