アイラブベイベー! (ハウル原作 ハウソフィ) 実は僕子どもが嫌いだったんだ。 と、急にハウルが言い出したものだからソフィーはたまったもんじゃなかった。何しろ彼女のおなかは大きくてもうすぐ彼らの子どもは生まれるからだ。 「あんたに言わないのは不公平だと思って。でも安心して、もう――」 不公平?不公平だなんてとんでもない。最初の浮かれっぷりに勘違いして微笑ましく思っていた自分がバカみたいだ。さあこれからどうしたらいいんだろう。子どもを生んで、この家を出て、どこに行ったらいいんだろう。 「もういいわ。あんたがそう言うなら、あたし…」 「…ソフィー?」 ああやばい何だか涙がこぼれそう。でもだめだ泣いちゃいけない。強くなければ。お母さんなんだから。 「いやソフィー違うんだよ僕が言いたいのは」 「何が違うのよ!子どもが嫌いだなんてこんなぎりぎりになって…わかってたら最初に出てったのに!」 「ソフィー、出て行く気?」 「そうよ悪い!?」 「悪い」 「なっ…」 「奥さんはせっかちで人の話を聞かないね。僕は『嫌いだった』って言ったんだ」 「…嫌い『だった』?」 「そう、昔は」 「今は?」 「愛してるよ。当たり前じゃないか、僕と君の子どもなのに!」 ハウルはソフィーの頬に音を立ててキスをする。 「出て行きたいと言っても僕は君たちを離さないよ」 「あんたも勘違いさせるようなことするから悪いのよ!」 ハウルは少しだけ言い返そうとしたが、それはがんばって飲み込んだ。妊婦を興奮させるのはよくない。彼女たちに何かあるくらいなら怒りなんかいくらでも飲み込んでやる。 「うん、ごめん」 「…どうして嫌いだったの?」 「自分がかわいい子どもじゃなかったからかな。何だか、あんまりよくないもののような気がしてた」 「損してたのねハウル」 「そうかな」 「そうよ。子どもの時代は素敵に満ちているの。楽しまないなんて損だわ」 よくよく思い出してみるとそういやなことばかりでもなかった気がする。動物園のキリン、野原に舞う蝶々、明るい姉、雨の日のかたつむり。 「…ソフィーは流石だ」 「何よそれ」 「ん?愛してるってこと」 「バカ!」 |
「いつまでも」なんて好きじゃないけど (ハウル映画 ハウソフィ) 手と手を繋ぐということはとてもいいことだと思う。昔はそんなこと考えもしなかった。手を繋ぐことよりも相手の肩を抱くことが多かったからだ。誰かと手を繋いで花畑を歩くなんて、そんな日が来るだなんて。 「ハウル?」 ソフィーの手はとてもやわらかくてしなやかだ。今までの生活なんか関係なく華奢な女の子の手。 「どうしたの」 そんなにまじまじと手を見つめていても何にもならないわよ? ソフィーは訝しげにハウルを覗き込む。 その手はけして離れることはないのだ。離そうともしてくれないのだ。優しい優しい僕のソフィー。 「ねえソフィー、愛してるよ」 その言葉に一瞬で顔を真っ赤にしてしまうソフィーを愛しく思いながら、もう一度耳元で囁く。 「愛してるよ」 きれいな髪もきれいな手もきれいな瞳も、ソフィーならすべて。 抱きしめるといいにおいがした。一生離したくないと思った。 「…私もあなたを愛してるわ。きっといつまでも、ずっと愛してるわ」 いつまでもなんて好きな言葉じゃないけれど、信じることは必要だ。 いつまでも、そう言って出会った人なんて今までいなかった。みんな終わりがあることを知っているから。ソフィーは少しだけ愚かなのだ。それを知っていて、わざわざ嘘を吐く。 「いつまでも」 ハウルはソフィーにキスをした。瞳をけしてそらさない彼女は美しい。 「一緒にいよう」 それは確かに嘘だったかもしれないけれど、今だけはきっと必要なのだ。 |
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