caution! 裏とまでは言いませんが性的描写ありのためR15くらいで。 いや大したことないですけども。っつかこのくらいなら普通にさらしても何ら変わらないんじゃないかとも思うのですけどもやっぱり一応。 それでもいいという方はどうぞ下へ 緩やかな狂気 窓という窓はふさがれて世界は真っ暗。信じるだけで救われるなら誰も苦労なんてしない。 こういう時に顔が見えないというのはいいことだ。 リザは薄く目を開く。頭を軽く上げるだけでも眩暈がした。理由はわかっている。ずっとここにいるからだ。ここで、固いベッドの上で横になっているからだ。もうどれくらいになるのだろう。よく分からない。時間の感覚というものは存外脆いものだ。 声を出すのはとても億劫だけれども出さないと彼は余計不機嫌になるだけだった。 今の自分は彼のためだけに存在するのだから彼の思うままに苦しむべきで、悦ぶべきであるのだ。 「あ…っ」 体も心も蕩けさせていると正常な考えなんてとてもではないけれどできない。ただ、常の自分が正常かと問われればけしてそうではないと思うのだけれど。 「大佐っ…」 胸をまさぐられるのは実は好きじゃない。けれど彼はそれをとても好むので逆らってはいけない。自分がこうされるのが嫌いなのはきっと彼があまりに執着するからだ。だからと言って他の部分がそうではないとはとてもいえないけれど。 彼は「男にはありえない女の器官はすべて好ましい」と恍惚に笑って言う。それはとても恐ろしく不快であるけれど、背筋がぞくぞくするような快感。 「……っ」 肩口を噛み付かれる。 引きちぎるよりも痕を残すような意図で仕組まれた痛み。 「…ホークアイ中尉。私はね、君のその姿が今にも消えてしまいそうで心底恐ろしいよ」 だから力づくで奪って押さえこんでつなぎ止めるのだ。薬の力にまで頼ってもう彼なしでは生きられないようにしたいのだ。 「大佐…」 リザはロイの髪を撫でる。 愚かだとは思わない。彼はただ知らないだけなのだ。ただ気づかないだけなのだ。 「私はどこにも行きません」 「その言葉が信用できるなら最初からこんなことはしないよ」 そう呟く彼は笑っていた。 リザは目を伏せる。何故いつもこうなのだろう。何故。 「私はどこかおかしいかな」 「いいえ、どこも」 彼はその時とても傷ついたような顔をしたけれど――まるで自分が監禁されて犯されているような目だった――行動はまったく違っていた。 噛み跡に舌が這う。 舌は軟体動物の体に似ていると思った。生温いぬめり。ざらついた表面。 彼はけして気づかない。リザがこうしているのはあくまで彼のためであって他の誰かのためではないこと。どんなことがあっても彼の傍を離れたくないと、願ってはいること。殴られるのはそれほど辛いことではないこと。この自分と違う髪や指や脚や性器や、すべてが愛しいと思っていること。 彼女はけして気づかせない。 気づかせたところで何が変わるということもないし、言ったって信用されない。ロイはリザに執着するあまりに周りのものが何も見えていない。 それはリザも同じだったけれど。 「――大佐」 リザはロイの二の腕にすがりつく。 紅潮した頬に潤んだ瞳を彼は一体どう思うのだろう。 「私は、どこにも行けません」 するとロイは満足そうに微笑んだ。どこにも行けないのなら許すことはできるのだ。それはそれは緩やかで優しい狂気。 |
*POSTSCRIPT* 裏っぽいから裏にしようかとも思ったのですけどもそういう描写ほとんど無いに等しいからまあ注意して見てくださいってことで。 私狂気って言葉使うの好きじゃないんですよ。なんだかエセっつか作り物な感じがする。とても的確で短い言葉ではあるけれど恐怖の対象であるかのような言葉なところがなんだか。うちの中尉は狂気を恐れません。だから抱かれるしキスするし抱きしめてやろうと思えるのです。 |
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