ループ 最初の一歩を踏み出してしまえば後はどうにでもなる。しかしその一歩が踏み出せなかった。そのために今は悪循環に陥っている。どうにかしたいがどうにもできない。人心を相手にすることの難しさを思い知る。 「後悔するならやめればよかったと思いませんか?」 女はベッドの中でロイに背を向けて言う。嬉しくない。 「今になって思うさ…とても」 「では今からやめますか?」 「それはできない」 「未練がましいんですね」 未練ではない。しかしそうではないと言って簡単に説明できるものでもなかった。彼女はきっと説明を聞くまで待つだろう。ずっと待つだろう。しかし待たせるのは嫌だった。 「…そうなんだ」 彼女は知らないだろう。気づかないだろう。ロイがこうしている間何を考えているのか。しかしロイも彼女が一体何を考えているのかを知らない。その片鱗でも見ることができると思って半ば無理やり押し倒してみる。しかし彼女は抵抗すらしないから、無理やりということにはけしてならない。いつでも言い逃れができる態勢を整えてみせる。 それが疎ましく感じるときが、少なからずある。 「一度君の頭の中をのぞいてみたいよ」 「私は大佐の心の内をのぞいてみたいと思います」 「何故だ?」 「何故ということもありませんけれど。なんとなく」 彼女は、リザはロイに向き直る。いたって平然としている様が恐ろしい。一体何を考えてそんなことを言い出すのか。 「私は今なら大佐の言いたいことがわかる気もしますけれど」 それをすべて見透かしたように彼女は苦笑する。 ロイは彼女の髪を撫でた。さらさらと絹のような手触りの髪が頬にすべり落ちる。 「君を」 白い肌。紅い唇。金色の髪。琥珀の目。豊満な乳房。細い足首。背中の筋肉。肩甲骨の形。彼女を形作るすべてが。 「君を遠ざけたいと思うことがある」 「貴方が望んでも、それだけは聞きません」 離れたら死んでしまう。どこにも行きたくはない。冷静な瞳で彼女は言う。きっとそれは真実なのだろう。しかし遅いのだ。断ち切るには何もかもが遅い。悪循環は形成された。壊すには、時間と無駄と慈愛が足りない。 「君の我侭にはいつも困らされる」 リザは笑った。本当のところ、離れたら死んでしまうのはどうせ自分の方なのだ。 女の胸は柔らかく、顔を埋めればすべてを忘れられるような気がした。所詮自分は男であって女に依存して生きていくしかない。それは甘美であり安楽であり苦行であり恐怖であり。 |
*POSTSCRIPT* 書きながらわけわかんなくなってきました。ヘタレで不純です。 |
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