ナイトコーリング 今現在の状況は非常に厄介で、それがどんなものなのかというと、好きな女がすぐそこで寝てても一切手出しができないというあまりに切ない環境だった。 「あんまり安心して寝るなよ…」 こっそり風呂から戻ってきた浅見はベッドですやすや眠る碧を見てつぶやいた。 さすがに覚悟はしてきたとはいえこれはあまりにつらい。 頼むからもうちょっと危機感もってくれよと思ってみても、碧にしてみれば自分はただの幼馴染みで親兄弟と同じくらい身近な異性なのだ。きっと彼女は素直じゃない子ねえだなんて思っているに違いない。 気付かせてやりたいと思った。 いいかよく見ろ、俺はお前と違うんだと叫んでやりたかった。 それでも碧はきっと笑うのだ。 落胆も驚愕もせず、変わらない笑顔でにっこり笑うのだ。 ああ憎たらしい。 浅見は碧の頬に手を伸ばす。 あんまりに柔らかかったので少し驚いた。小さいころはケンカをしてひっぱたかれたりしたけれど――今もだ。こいつのハリセン痛えんだよ――昔から、自分が何かしたことはない。臆病なだけだったのだろうか。下手に嫌われるのが嫌だったのかもしれない。やはり臆病か、浅見は一人嘆息する。 浅見は碧の頬をむにっとつまんですぐ離すと、自分のベッドに向かった。 おかしな気分になる前に寝ようと思った。 「……意気地無し」 だから人の自制心を刺激するようなことをするなっつーんだよいつもいつも! 何だかんだで所詮自分は負けず嫌いなのだ。あんな挑発に乗ること自体負けてる気がして仕方なかったけども。 碧はきっと笑うだろう。いつも通りに、にこやかに。 |
*POSTSCRIPT* や、やっちゃった!! 一部の人しか楽しくないプライベートアイズの浅見さん×碧さん。 それしにしてもこの二人にはどうしてもさん付けしてしまうのだけどもどうしてだろう。 それからやっぱり短い・・・ |
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