最後の一線




 日常というものが疎ましくなる時がある。
 それは大抵自分の思った通りに事が進まない時で、そして予定外の惨事を引き起こす人物はいつも同じに決まっている。いくらサボり癖があるからといって、普段からそれを想定して仕事を進めるだなんてことはできないのだ。
「少尉!」
 涼やかな声に引き止められ、ハボックは振り向いた。
「ホークアイ中尉」
「大佐を見なかった?」
「いいえ。また逃げたんですか?」
「・・・・・・」
 沈黙こそ肯定。
 リザはまさしく不本意、というような顔をした。
「懲りませんねえ」
 その言葉にリザは顔を更に険しくするわけでもなく、ただ静かに笑う。
「あのひとだもの」
 ――ああ、まただ。また、こんな顔をする。
 軍人で、自分よりも上官であるとはいえ、彼女はどこまでも女なのだと思う瞬間。
 そしてその視線が向けられる先にいるのはけして自分ではないと確信する。
 確信しても落胆はしない。相手をよく知っているからだ。
「手がかかる人ですね」
「本当に」
 一瞬の幻のように、笑顔が立ち消える。
 何であの男なんだ。
 思ってやまない。
「俺も探しましょうか」
「いいえ、私が探すわ。少尉は自分の仕事を」
 申し訳なさそうに笑わないで下さい。その方が痛いから。
「・・・はい」
 タバコはどこにやったかな、と思ってポケットを探る。残りは最後の一本だった。神経が焼き切れそうな気分を味わう前に誤魔化そうと思ったのにこれではどうしようもない。
 最後の一本を口にくわえる。
 後で誰かから強奪しよう、と心に決めながら。


 ハボックが行った後、リザはロイを探しに向かうべくまず執務室へ向かおうとした。
 後ろから誰かに抱きすくめられるまで。
「・・・っ誰・・・」
「少尉と何を話していたんだ?」
「大佐!」
 相手がロイだとわかったと同時に、リザは体の力を抜く。
「何を?」
「たいしたことは・・・ただ、大佐を見かけなかったか聞いただけで」
「私が見当たらなかったかね。サボるつもりはなかったのだが」
「書類を溜め込んで執務室から消えたら充分サボりとみなされます。離してください」
「嫌だ」
 ロイの即答にリザは押し黙る。
 まずは驚愕、それから自分を抱く力が強くなったことに気づき緊張が走る。
「大佐・・・?」
 リザは目を見開いて振り返る。
「私は独占欲が人一倍強いんだ」
「・・・っ自分で仰ることですか!」
 第一、彼の独占欲の強さは人一倍どころの騒ぎではない。それは自分が一番知っている。
「離してください。ここをどこだと思っているんですか。悪ふざけがすぎますよ」
「悪いが今なら君に何を言われてもへこたれる気がしないよ」
「最低です」
 どうにかしてロイの腕から逃れようとするリザを、彼は簡単に押さえ込んでしまう。
「光栄だ」
 無理矢理でもいいと思った。
 だから。
 だから、触れる。
 



 




 *POSTSCRIPT*
 平岡 碧さんの79000ヒットリクでロイアイ←ハボでロイとハボのやきもちの妬き合戦。
 まずはお詫びを・・・ひ、非常にお待たせいたしまして申し訳ございません・・・!
 っぎゃーもう今はカウンタが130000とかいってるのにも関わらず今上げたキリリク小説は79000!ごめんなさいー申し訳ございません!
 こんなものでよろしければどうぞもらってやってください。



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