咲かせてみせます大輪の花




 正直控えめに見ても自分はすごいと思う。容姿端麗頭脳明晰スポーツ万能。何をやっても1番で、何をさせてもできてしまう。歌もうまいしかっこいい。泣かせた女は星の数。稼ぐ額も並みじゃない。そんな自分が、自分が、自分が!
「…初めて女に振られた…」
「あっそ」
 ロイは車の中でいじけて見せる。唯一の彼の友人は何事もなかったかのように運転を続ける。
「『あっそ』で終わらせていいと思うのかお前」
「終わらせろよ。ロイ、お前何本気でへこんでんのか?」
「当たり前だ。口説いたら最初に『迷惑です』って言われたんだぞ!」
「お前がうざかっただけだろ」
「うざくない!」
 実際のところはうざかったんだろうな、ヒューズはそう当たりをつける。そしてそれはたいてい間違っていない。
「でもお前いつも軽く振られても気にしたことなかったじゃねえか」
「違う今までのは振られたんじゃない。こっちから振ったんだ…」
 あ、実はへこんでたんだ。そんなことにようやく気づいてヒューズは嘆息する。この男は意外と打たれ弱い。bPなんだからシャキッとしていればいいのにへこむとすぐこれだ。
 ロイは後部座席で上半身を倒してぐだぐだしている。どうしようもない。
「ああもう何だ何がいけなかったんだ…あの子の美的センスがおかしいのか。いやそれでも私のこの経済力と包容力とテクニックとその他諸々考えるとそんなレベルの問題じゃ…」
「だからうざかったんだろ」
「うざくない!」
 どうせまたしつこくせまったに決まっているのだ。パターンがあるように見えて、彼にパターンはあまりない。
「で、お前を振ったその猛者ってのは誰なんだ」
 こうなったらすっきりさせてしまうのが一番だ。どうしようもない愚痴にばかり付き合ってもいられない。今日は娘の誕生日だから本当はもう帰りたいのだ。
「…リザ・ホークアイ」
「ああ!?お前リザちゃんに手ぇ出そうとしたのか!バカじゃねえの!?」
「バカとか言うな!俺だってちょっとは躊躇ったんだ!」
「躊躇ったまま実行するなよ!その実行力を他の方向に向けろってんだ」
「まさか振られるとは思ってなかったんだ!」
「バーカ。お前が相手にされるわけがないだろ。っていうか事務所の職員に手ぇ出すな。そこらでタレント食ってろ」
「お前そっちの方がよっぽどな理屈だぞ…」
 ロイはようやく起き上がる。振られたからと言ってチャンスが無くなったわけではない。手を出すなといわれれば尚更出したくなる。それも避けられない人間の心理だ。
「だってリザちゃんだし」
 しれっと言うヒューズを見て、ロイは絶対に落としてやると心に決めた。こうなったら手段は選んでいられない。



 



 *POSTSCRIPT*
 リザちゃん出ませんが。
 大佐→俳優
 ヒューズ→マネージャー
 リザ→事務所の職員
 って感じで。本当はマネージャーをリザちゃんにするつもりだったんですけども。そうすると大佐が独壇場にも程があったので。いっそ出さない方向でいってみました。
 いやほんとのところポー○牧ばりの指ぱっちんで芸能界を引っ掻き回す一流芸人ロイ・マスタングくらいにしたかったんですけどね。でも指ぱっちんじゃ天下はとれない。でも大佐の顔じゃ芸人がせいぜいだと思います。あいつ顔はよくないよ。きっともともと金持ちなんだよ。金にモノを言わせて這い上がってるんだよ(酷)



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