密室のソース




 彼女は一体どんなに甘やかで密やかでとろけそうなものばかりで構成されているのだろう。
 きっとそれはこの世で一番甘ったるいものに違いない。そう、例えるならばまるで密室のような。
「大佐」
 その声は今にもとろけそうで、吐息からも甘い匂いがした。この声が息がこれだけ甘いなら、唇はどれだけ甘露か。
「大佐」
 その薄く色付いた唇にむしゃぶりつきたいと思ってしまう。実行に移せたらどんなにか。
「…大佐」
 君の言いたいことはよくわかる。いい加減にしろだのやめてくれだの、逆にこっちを煽るような台詞を完璧なタイミングで完璧な辛辣さで吐いてくれるのだろう。
 ああ、パーフェクト!
「寝ぼけないでくださいね大佐」
 リザは机越しに伸びてきた手をはたき落とす。軽い力ではあったがロイにとっては予想外のことだったために軽く振り払われてしまう。
「何をするのかね君は」
「それはこちらの台詞です」
 リザはあくまで真顔で一歩後ずさる。身の危険を感じたのかもしれない。
 素晴らしきかな本能!
「仕事もするべきこともいくらでもあるんですよ。夢見てる暇があったら現実に動いてください」
「…その厳しいお言葉に惚れ直しそうだよ」
「あら、それはどうも」
 にっこり笑って返されると、どうも自分が思春期の子供に戻ったような気分になる。気分だけだけれども。実際は29歳、出世の予定はあっても結婚の予定も心当たりも何もない寂しい独身だ。
 溜め息をついて何か変わるわけでもなし、諦めることにした。
「やはり君が私の恋人にでもなってくれたらすべては解決すると思うのだが」
「どういう思考回路でそうなったんですか。まあ…愛人くらいなら考えてもいいですよ」
「…厳しいねえ。思わず惚れ直してしまったよ」
 彼女は体は差し出しても心はくれないのだそうだ。
 またそんな余計寂しくなるようなことを。
「では愛人にでもなりますか?」
 それもいいけれど今は切実に愛が欲しい。
「私の」
 不意打ちを食らった時の方がまだ衝撃が少ないのではないだろうか。
「…待ちたまえ中尉、君が私の愛人になるんじゃないのか」
 ロイは額に手を当てて問う。
「あなたが私の愛人になるんです」
 いかがですか?
 笑って返されるとどうにも逆らえないのだよ子供のころに戻ったように!
 いやまあいい考えだと思います…
 ぼそりと呟いた唇に甘ったるくて柔らかいものが押し当てられた時、心の底から骨抜きにされた。
 愛人万歳!


 彼女はきっとこの世のものとは思えぬような甘くて柔らかい物質で構成されているのだ。間違いない。
 例えるならば、この密室のような。



 




 *POSTSCRIPT*
 はいはいとうとうやりましたまずは土下座!お待たせしまして本当に申し訳ございません…!
 99999hitゲット瑠光奈さんのリクエストでロイアイのギャグ小説。
 ……ギャグ?
 いやごめんなさいあたし的にはものっそいギャグなんですよこれで!個人的にがんばったよね、うんがんばったがんばったってくらいにギャグなんです実は…!
 錬金学園の小説かロイアイギャグということでしたのでもしかしたら求めてたギャグとはもうなんていうか方向違うんじゃないかなとも思ったんですけども書けなかったんです…!
 だ、だって学園はもうネタ決まっちゃってるからあんまり動かせなくてさ!
 すいません言い訳です…
 でもほらだってキモイじゃんロイロイが愛人だしさ…キモさは全開だと思うんですよ…だってキモイもん…(死)

   ソースとは料理とかの方の“sauce”ではなくて、源とかって意味の“source”です。蛇足ながら。



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