シャングリラ




   最近自分は恵まれている。
 それは好きな人がいるからであったり、その彼女が結構自分を悪く思っていないということを知ったからかもしれない。
 とにかくどっちでもいい。
 幸せに浸ることは暇人にしかできないけれど、たまにはそんなのもいいじゃないか。


 俺は走った。
 とにかく走った。
 それはあの後ろ姿を追いかけたかったからでもあるし、それに追いついたら勝ちだということを知っていたからだ。
 走れ。
 走れ走れ。
 もっと速く、もっともっと速く。
「すいません、ちょっと!」
 彼女が振り返った。
 ああ心臓よ静まれ。
 いやだからって止まらなくてもいいからとにかくもう少し静かに。
「あ・・・あああああの」
 ああもう何どもってんだよ彼女ちょっと変な顔してんじゃねえか、しっかりしろ俺!
「あの!」
「ハ・・・ハボックさん、ですよね?」
 ああ畜生声もかわいいなーこの声でもし振られたら絶対寝込むよ。
「あ、そ、そうです」
「何かあったんですか?」
「いや何かあったといえばあったんですけど、ちょっとこれは至極プライベートな・・・」
 引き伸ばしてくれてありがとう。
 ああいやそうじゃないそうじゃないさっさと言わせてもらわないと決心鈍るっていうか下手したら言えなくなっちゃうんでちょっと。
「あ、それなら私も・・・」
 え、何?何だよこの展開。まさか大佐を紹介してくれとか言わないよな、まさかだまさか。ハハハ、そうだったらどうするよ。決まってるじゃないか、仕事が忙しいとか言って奴には絶対近づけないようにしないと、あのクソ上司女となったら見境ないからほんと参るんだよ!ええい、こうなったら先手必勝だ!
「じ、実は・・・」
「す・・・好きなんです、付き合ってください!」
 あ、あれ・・・?
 今の俺言った?いやそうじゃねえよなこのコが言ったよ、確かに。
『好きです。付き合ってください』
 甘美な響きが頭の中をリフレイン。
「・・・それ、俺が今言おうと思ってたんスよ」
「え!?そうなんですか?」
 真っ赤になってうつむく彼女は心底かわいい。


 俺 は や っ た !!
  

 なんとなく嬉しい。
 なんとなく楽しい。
 なんだかすべてが上手くいってる気がする。
 この時間が崩れ去ることはないような気がする。
 それだけを、ずっと祈って。

 今日、君にキスをする。
 




 




 *POSTSCRIPT*
 29000hitゲットのアナさんからのリクエストでハボック少尉のささやかな幸せ。
 とりあえず本編で中央に異動する前にいたという彼女との馴れ初めとかにしてみました。馴れ初めっつか告白シーンですが。
 ハボアイにしようかと思ったらうちのハボアイにおいてハボさんはもれなく報われないので結局こんなことに。
 29000hitありがとうございました!!



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