待機中ですPartU



 少女漫画で例えるならば、私はきっと主人公のライバル的な存在に当たるのでしょう。
 主人公が羨む要素を多く持っていて、主人公と同じ人が好きなのですから。そしてその、典型的な少女漫画の筋書き通りに事が進むとすれば、間違いなく、負けるのは私なのです。選ばれるのは、あの子なのです。
 『あの子』は、表情のくるくる回るとても可愛らしい女の子で、自分のことをよく分かっています。健気に見えて、内心何を考えているのかよく分かりません。実はとても計算高いのかもしれません。「私何もできないんです」とでも言っているような顔をして。私は自分に正直にしか生きられません。欲しいものは何としてでも欲しいのです。計算なんかしていられません。どんな卑怯な手を使っても、手に入れたいのです。それがいけないのでしょうか、私はいつも失敗してしまうのです。健気で可愛らしい顔をした彼女達に敵わないのです。自分が可哀想だとは思いません。それよりもただ、悔しくて、悲しい。
 今日は約束をしていました。私はそのために、ずっとここで待っています。今日は私の誕生日だから、このお店に来てといって、それを半ば無理矢理に了承させました。彼は来るでしょうか。待ち合わせの時間は午後八時。そして今は午後十一時。絶望的です。私は内心、分かっていました。どんなに待っても彼は来ません。彼は来ません。もうとっくに帰ってしまったと思っているのでしょうか。私はまだここにいるのに。このお店は深夜まで営業しています。それでもきっと、彼は来ない。もう帰ってしまっても、さして問題は無いのでしょう。最終的に、彼が選ぶのは『あの子』であって、私ではないのです。
 それでも私は待っています。一縷の望みにすべてを賭けます。私は今、どうしようもなく彼が好きなのです。手に入らないものだと理解はしていても、納得はできません。私は彼が好きなのです。好きなのです。愛しくてたまらないのです。
 今、日付が変わりました。時計は十二時丁度を指しています。彼は来ません。もしかしたら、『あの子』のところにいるのかもしれない。ぼうっと、そんなことを考えながら、私は気の遠くなる思いでした。
 もう彼は来ないのだ、と確信した瞬間、悲しくなりました。悔しくなりました。
 悔しくて、悔しくて、私はとうとう我慢ができなくなってしまい、その時初めて、私の目から少量の涙が零れ落ちたのです。



 





 *POSTSCRIPT*
 待機中です。の続きではけしてなく。
 なんだろう、なんとなくぽっと浮かんだので書いてみたのですがまあこれが続かないこと続かないこと。
 あっさり終わっちゃいましたね。
 泣き寝入りして欲しくない主人公のライバル、というのが少女漫画には往々にしてでてくるなあと思いまして。



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