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月のワルツ ちゃんと知ってる。できることとできないこと。するべきであることとそうでないこと。 王宮のパーティに招待されたのはつい昨日のこと。着飾るの大好き、目立つの大好きなハウルが何故か今回ばかりは行かないと言い出した。 「どうして？せっかくの招待を断るなんて失礼よ。ベンに聞いたけれど、あんたいつもパーティも式典もサボってばっかりなんですって？」 ハウルはちっとも悪びれずに自分の髪をいじるのに夢中だ。 「だってそういう時はいっつもこき使われるんだよ。装飾だとか音楽だとか。それが一段落すれば今度は可愛くも美しくもないおっさんの話し相手！いいことなんて何も無いのさ。それよりも疲れることばっかり！そんなことに僕の貴重な時間を割いてなんかやれないね」 いつも大袈裟なハウルは今日もいかに自分が苦労しているかをまくし立てる。普通なら丸め込まれても仕方のない場面だけれど、相手が悪かった。彼女はソフィー・ジェンキンス。魔法使いハウルの妻にして美人だけれど気性が荒いので有名なハッター三姉妹の長女なのだ。 「まったく！これがあんたの仕事でしょう！？あんたが欠席して大変なのはベンなのよ！彼に悪いじゃない！」 「じゃあソフィー、あんたはこの女性同伴のパーティに一緒に行ってくれるのかい？」 ソフィーは言葉に詰まった。華やかな場所はどうも得意ではないのだ。どちらかと言えば苦手に当たる。 「あんたの着飾った姿を見れるのは大歓迎だよ。いやむしろ推奨する！けど僕はそんな綺麗になったあんたに悪い虫が付くんじゃないかと思うと気が気でないんだよ！」 「そんなことないわよ…ああ、でもレティーが心配ね…」 あの子はとっても美人だもの。ソフィーは眉根を寄せて呟く。 「何であんたはいつもいつもそうなんだろう！」 まったく憤慨、とばかりにハウルは立ち上がった。今までいじっていたせいで髪はボサボサだったけれど、それすら気にならないらしい。 「いいかいソフィー、あんたは自分のことを分かってないにも程がある！」 「だって…」 「だっても何もない！わかったよじゃあパーティに行こうじゃないか！あの馬鹿みたいに派手で豪勢なパーティに！あんたはそこで誰より綺麗な僕の奥さんだ！」 「い、行くの！？あんたさっき面倒だから嫌だってあれほど…」 「ソフィーのためなら多少の面倒なんてささいなことだよ。ねえソフィー、世界一綺麗で可愛い僕の奥さん。僕はあんたが本当に好きなんだよ」 だから心配もするし着飾った姿が見たいとも思う。そんなソフィーを一生閉じ込めておきたいとも思うし、自分のものだと見せびらかしてやりたいとも思う。 「で、でもハウル、私踊れないわ。ダンスもあるんでしょう？」 「そんなこと大して気にしなくてもいいけど…それより僕はドレスを買いに行くことを薦めるね」 「でも、そういうわけにもいかないんじゃないの？」 確かにこのパーティで一番盛り上がるのはダンスの時間だ。ソフィーは以前王宮をハウルを訪ねて王宮に言ったとき、ダンスの練習をさせられている王女を見たことがあった。幼い彼女は「しなきゃならないの」と頬を膨らませていたのだ。 「気になるなら練習すればいいさ。丁度いいことに練習相手は目の前にいるし」 ソフィーは一瞬目を丸くする。 「…練習相手？」 「そう。僕じゃ役不足かな、ミセス・ジェンキンス？」 にっこり笑って優雅に礼をしてみせるハウルに、ソフィーはついつい吹き出して笑い出してしまう。 「当然、本番の相手もしていただけるのよね、練習相手さん？」 「もちろん」 くすくすと笑うソフィーに微笑んで、ハウルは手を差し出した。 「さあお手をどうぞ、世界一の僕の奥さん」 「よろしくってよ旦那様」 寝ているみんなの邪魔をしないように静かに静かに外へ出て、夜空の中で月のワルツを。 アン、ドゥ、トロワ マーベラス！ |
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＊POSTSCRIPT＊ ソフィーさんのことを奥さんと呼ぶハウルがとてもツボです。そういうのが好きなんですよ。こう、露骨なまでに奥さん奥さんうるさく言ってくれればいいと思う。「アブダラ〜」後くらいのつもりで。夜だからモーガン寝てるってことにしてください。そして夜泣きのしわ寄せはマイケル君に。いいお父さんになれると思いますよ彼は。ジェンキンス氏のお宅で相当鍛えられて。マーサがまるっとお得。ああいいじゃんこれで末っ子が得しとけば色んなジレンマ解消でさー。 っつかこんなのを書いた割りにフランス語がよくわからなくて、確かマーベラスってフランス語だよねーこういう場面で使ってもおかしくないよねーいやおかしいのか？わっかんねえよーとか言いつつ書いてました。色々と失格な気がします。すいません勘弁してください第二外国語はドイツ語なんです。イタリア語も読めるけど意味わかんないんです。フランス式の発声練習はよくやったんだけどねー（とても偏ってますネ！） |
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