わたし あなた わたしとあなたとあなたとわたし。 出会いは単調で単純。こんにちは。はじめまして。これからよろしく。ええ、よろしくお願いします。と、それだけ。 「幸せですか?」 リザは思いついて問いかけてみた。出会ってから今まで、彼がリザの質問に答えてくれなかったことはないのだ。 「何がだい」 ロイはきょとんとして答える。勉強の合間に聞くことではなかったかもしれない、とリザは少しだけ反省する。でも、聞いてみたかったんだもの。それは自分へのいいわけだ。 「今、こうしていて」 「そりゃあ苦しいさ」 彼は錬金術師になりたいそうだ。リザの父親は炎を扱う錬金術師であり、ロイはその彼に師事している。尊敬すべき師であるけれど厳しすぎる、と彼は時折リザにこぼしてみせる。しかし、それが本音ではないことをリザは知っていた。 「私も好きで勉強してる口だけど、好きだからといって幸せだとは限らないんだよ」 「そういうもの?」 「そう。憎たらしいことの方が多い」 「それは、わからないことの方が多いから?」 「リザは賢い」 ロイは笑う。けれどリザもそれは常々感じていることだった。彼に関して、わからないことの方がリザには多いのだ。 好きだからといって幸せであるというわけではないのよ。 父が死んだときはなおさらそう思った。あの場から自分を遠ざけようとする彼を、自分を慰めながら涙一つ見せない彼を、少しだけ、ほんの少しだけ憎たらしく思った。好きなんです好きなんです。ほんとうに、好き。けれどそれはただの本音でしかなかったのだ。戯言は真実に近しい。 「お父さま…!」 「リザ!」 抱きかかえられてもどこへ連れて行かれても彼が死んでも自分が死んでも。憎たらしくても愛しくても切なくても痛くても。それでも。 離れられないのはこの体温。 |
*POSTSCRIPT* 告白「韓ドラはチャングムしか見たことがありません、せんせい!」 いや、ほんとすんませんっした…韓ドラ?なんか、韓ドラっていうとこう、主人公が次々に悲惨な目に合い相手と擦れ違いながら愛を深めていく的なイメージがあるのですが、ほんとにそれやるとパラレルだからね。それどうなん?違うんじゃん?って思って…みた…り… 結局中途半端なことになってしまいました。あーあー。 |
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