World End/Wild End





「これだから女は」
 そう言われたことがある。
 とりあえずそんなことを吐き捨てるように言う男は、それだけで犯罪だと思った。退職覚悟で蹴り倒してやったけど。
 最近はそういうこともなくなってきたが、やはり男と女の壁というのははっきりとそびえたっているのだ。ただ、見えないだけで。



 なんとなくむかついていらついてどうしようもなくて、世界なんか滅べばいいのにと思う瞬間がある。
 危険思想だわ、思いつつも止まらない。
 仕事の疲れのせいもあるかもしれない。
 最近とみに昔のことを思い出すからかもしれない。
 ここしばらくまともにご飯を食べに行ってないせいということもあるかもしれない。

 傷が疼くから、なんていうことのせいでも、ある。

 世界なんか滅んじゃえばいいのに。
 (だからそれは危険な考えだから)
 そうすればもう突っ張ってなくても大丈夫なのに。
 (素直な自分って何よ)
 ああ、いらつくむかつくどうしようもない。

「ただ今帰りましたー」
 お気楽な声が誰もいない刑事課に響き渡る。
「あれ、他の皆は?」
 いつものコートを机にどさっと置いて、青島はすみれに向き直る。
「みんな帰ったわよ」
「すみれさんは帰らないの?」
「あたしは当直」
「なるほど」
 青島は乱暴にイスを引き、深く腰掛けると、深く息をつく。
「疲れたー」
「あたしもお疲れよ」
 だろうねえ、青島は小さく呟く。
「なんで犯罪って起きるんだろうね」
「そんなこといってたらこっちも商売上がったりよ」
「あ、そうか」
「青島くんてときどきバカよね」
「それひどくない?」
「あ、いつもだった」
「・・・・・・・・・」
「こりゃ失敬」
 青島はタバコの箱を取り出す。一瞬だけ、その匂いが舞う。不快な気分がすこしだけ落ち着いた。
「まあいいけどね」
 タバコに火がつくと、匂いはさらに増す。このまま眠ってしまえたら、そうしたらどんなに幸せか。
「すみれさんも無理しちゃだめだよ」
 ふとそこにある大きな手のひらとか、心地良いトーンの声とか。

 この、少しばかりの穏やかなひととき、とか。

 こんな時は、世界が終わってもいいと思う。
 そうしたら、少しは素直になってあげるわ。

「無理なんかしないわよ」
 自然にこぼれた笑みに、彼は目を閉じ、そして。
 この一瞬、世界が終わる。






 




 *POSTSCRIPT*
 7000hitを獲得なさった露刃さんからのリクエストで、男性相手に全然負けずに仕事をしてるけど、ふとした瞬間に不安になるすみれさんと、彼女をさりげなく助けてくれる青島君。
 ・・・・・・・・なってますか?(うわあすごく自信がない・・・)
 おまたせした挙句に・・・自分情けな・・・
 うまく応えられなくてどうもすみません。それでも読んでやってくれたら嬉しいです〜


 7000hitありがとうございました!!




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